トリアカステーラの町を出たところに分かれ道がありました。モホン(石標)が2本、並んで立っていました。黄色い矢印は左と右を向いてます。どちらに行ったらよいのでしょうか? たまにこんなことがありました。
よく出くわしたのは、自らのアルベルゲやバルなどにペルグリーノを誘導するために付け加えられたニセ(回り道)の矢印でした。
ここの分かれ道は、ガイドブックにも載っていました。右に行くとアップダウンはあるものの、まっすぐに次の目的地のサリアに向かいます。左を取ると、サモスというきれいな修道院の町を経由します。道は平たんですが、距離は長くなります。
前夜のアルベルゲのベッドで思案しました。左足は相変わらずチクチクと痛かったのです。まあ、あれこれ悩んでも仕方ないので、歩きだしてから判断しようと眠りにつきました。で、その分かれ道までやってきました。そこまでは快調に歩いてこれたので、迷うことなくまっすぐサリアに向かう右を選択しました。
霧に霞む朝でした。やがて東の空が明るくなりました。牧草地に何本もの光線が降り注ぎ、黄金に輝きました。これまでとは違った、すがすがしい巡礼路でした。
でもよいことばかりは続きませんでした。気になる左足が、また痛み出したのです。「サリア」と書かれたレストランの看板と出会ったのは、町の中心地まであと5キロほどの地点でした。痛みは激しくなり、道端に座り込んでしまいました。
スマホを取り出して、サリアの宿を予約しました。アルベルゲではゆっくりと休養できそうにないのでオステルを、しかも翌日もダメだろうと2連泊することにしました。これまでの行程で、1日分の貯金があったのです。
いつまで座っていても、サリアは近づきません。痛い足を引きずって、トボトボと歩きました。町に入るとスマホを取り出して、Google mapで予約した宿までの最短路をたどりました。
もはや、ここまでかと覚悟しました。3年前の巡礼でサリアからサンティアゴ・デ・コンポステーラまでは歩いたことがありました。区切り巡礼と考えると、すでに聖地までつながったことにはなります。でも、サンジャン・ピエ・ド・ポーから歩いてきたのに、ここでリタイアかと思うと泣けてきそうでした。
分かれ道で、左に進んで途中のサモス泊としておけばよかったでしょうか・・・。でも、それが分かれ道でした。
わたしの人生にはも、そんな分かれ道がいくつかあったはずです。どちらを選べば正解だったのかは、その時点ではだれにもわかるはずがありませんでした。
【2016/09/23】
【07:03】
左足首をテーピングして、トリアカステーラのアルベルゲを出発しました。
トリアカステーラのはずれにあるカフェで朝食。ここのパンもトーストでした。
【07:28】
選択を迫られる分かれ道でした。アルベルゲからここまでの道は順調に歩けたていたので、サリアへ直行することにしました。
大きな帆立貝が立っていました。
霧にかすむ道を、このあたりは順調に進みました。
稜線がくっきりと見えるようになりました。雲海が広がりました。
もうすぐ日の出でした。
雑木林の中を歩いていると、東の空が明るくなりました。
牧草が金色に輝きました。
ドナティーボ(寄付)のジュースでひと息つきました。
やっと朝の光が降ってきました。
【11:05】
第2朝食はパウンドケーキでした。アギアダのカフェで休みました。
【11:46】
サリアの文字に初めてでくわしました。3年前の巡礼でやって来たことがある思い出の地でした。
でも左足が猛烈に痛くなってきて、ひきずって歩きました。
ベンチに腰かけてスマホを取り出し、サリアの宿を予約しました。
【17:50】
這う這うの体でサリアの静かなオステルに落ち着き、午後はベッドで休みました。
腹が減ってきたので、散歩を兼ねて旧市街へ。サンタ・マリアーナ教会が開いていました。
サリアのサンタ・マリーナ教会です。今回はクレデンシャルにスタンプをいただくことができました。
8月25日から歩き始めた巡礼でした。ちょうど1ヶ月でサリアに着きました。サンティアゴ・デ・コンポステーラまであと110 キロほどのところでした。ここから歩くとコンポステーラ(巡礼証明書)がいただけるとあって、ここを出発地とする巡礼者が一番多い町でした。
わたしも3年前にやって来た思い出の地でした。
四国のお遍路と同様に、サンティアゴ巡礼でも何回かに分けて「区切り巡礼」をする人が多かったです。となると、わたしはサン・ジャン・ピエ・ド・ポーからサンティアゴ・デ・コンポステーラまで歩ききったことになりました。
サンタ・マリア教会にこれまでの旅を報告、残りの旅の平安を祈りました。
巡礼では、パスポートに相当するクレデンシャルに教会やアルベルゲなどでスタンプをもらいます。わたしも36 個目となるスタンプをいただきました。
サリアの町を見下ろしました。
町で先に行っているはずの弘前大くんと出会いました。風邪をひいて、途中で1日、休養していたそうです。苦しんでいるのはわたしだけではないと、なんだかほっとしました。
一緒に夕食を食べました。まずは乾杯です。
カラマーレス・フリートス。日本でもおなじみのイカリングのフライでしたが、ふわっと揚がっていました。たっぷりとレモン汁をかけていただきました。
リブステーキにかぶりつきました。
口直しのサングリアとデザートのアイスクリームです。
前回も巡礼でも、最初の夜に緊張してmenuを食べたレストランでした。にぎわっていました。