ベロラードの町を歩いていると、巡礼路の石畳にいくつもの足跡がレリーフになって埋め込まれていました。大きな手と足でした。だれだろうとかがみこむと、添えられたサインは「マーティン・シーン」と読めました。
サンティアゴ巡礼をテーマにした米国映画「星の旅人たち」(原題は「THE WAY」)は、DVDを買って、何度も繰り返し見ました。
米国西海岸の眼科医がゴルフ場でプレー中に、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼に旅立った息子がピレネーで遭難死したことを知らされる場面から始まります。その眼科医である父親を演じていたのがマーティン・シーンです。
その父親が、疎遠になっていた息子の自分探しの旅を追体験するようにカミーノを歩き始め、ストーリーは展開します。偶然出会った3人の男女が絡んで巡礼は続きます。「さあ、人生の旅に出かけよう!」というキャッチコピーがついています。
映画で見たその人(シーン)の足跡と手形を見て、わたしもあの映画に出てきたカミーノを歩いているんだと、あたりまえのことに感動しました。
わたしが最初にカミーノを知ったのは、通勤帰りの大阪・梅田の書店でたまたま手にした一冊の本でした。「世界遺産 サンティアゴ巡礼路の歩き方」(日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会、世界文化社)はグラビア満載です。カミーノのルートから歴史、体験談、巡礼の手引きまでが記されていますこれがきっかけで、わたしもいつかはカミーノを歩こうと思い立ったのです。
カミーノの映画ではもう1本。「サンジャックの道」というのがのがあります。帰国後にレンタルビデオ店で探しました。こちらはフランス映画で、フランスのル・ピュイからサンジャン・ピエ・ド・ポーまでがメーンの舞台。遺産相続の条件として仲の悪い3兄弟がカミーノを歩く物語です。こちらのキャッチコピーは「人生ってすてたもんじゃない。い。」カミーノとは人生の縮図のようです。
今ではわたしの本箱に、何冊ものサンティアゴ巡礼に関する本が並んでいます。
【2016/09/04】
【06:13】
ベロラードまで22.5kmのステージ。出発はいつものごとくに早い。
町外れのドモンゴ橋の畔の礼拝所。
【07:42】
グラニョンのカフェで朝食。
ラ・リオハ州からカスティージャ・イ・レオン州に入った。相変わらず黄色い変化のない大地を進む。
【08:08】
きょうも朝日が昇った。
黙々と前に進むのみ。
レデシージャ・デル・カミーノは、ブルゴス県の最初の村。カフェに座っている男性はイスラエル人で、後に親しくなった。
窓飾りがきれい。
電線を見上げると、とんでもないものが絡まっていた。
ヒマワリが満開。巡礼路に近い花には、いたずらが。
【13:09】
ベロラード着。
教会の塔にはコウノトリが巣を作っていた。
昼飯は、広場のカフェで食べた。
なに頼もうか? きょうもよく歩いてノドはカラカラだった。
隣の少年が食べていたのを見て、「あれとおなじの、ちょうだい」。それで通じた。予想通りエビのフライだった。衣はパンケーキみたいでふんわりとしていた。
それにしても、にぎやかだった。爆音の下にいるよう。ハエも五月蠅く、早々に退散した。
移動遊園地があったが、子どもの姿はなかった。シエスタ(昼寝)の時間だった。
宿泊したアルベルゲ。
夕食は、コミュニティー・ディナーといって、みんなが集まって、同じメニューを一斉にいただく。
ワインはついていなかったので、5€のボトルを頼んだ。
ミックスサラダ。
スパゲティ・ボロネーゼと簡単。
それでもデザートにアイスクリームがついていた。
韓国・プサンからやってきたLくん。この後、何度も顔を合わせた。